鼻毛

大手企業の最終面接で社長の鼻毛が気になり、1人で笑ってはいけない24時状態に…

僕は吉彦。

東洋大学の経済学部 国際経済学科の4年生。

出身は山梨県都留市で大学進学のために上京してきて白山キャンパスに通っている。

絶賛就職活動中だ。

そんな僕が奇跡的に大手企業の最終面接までこぎつけることができ、社長さんとの面接時に人生最大のピンチに陥るなんて…。

苦しい…。

でも堪えないとこの面接は終わってしまう…。

どうしてこんなことになったのだろうか…。

少し時を戻そう。

ダメ元で大企業の面接を受けてみた

僕はいくつかの企業に採用応募するも、毎回2次面接まで辿り着けずに落ちまくっていた。

いい加減うんざりしていたところに、就職課の先生からLINEが来た。

どうやら大手企業の求人が大学に来たらしくて、僕にダメ元で受けてみないか?ということだった。

ダメ元って…。

少々失礼な先生の言い方に少しムッとしたが、先生とはたまに飲みに行く仲なので半分冗談なのはわかっている。

その企業はテレビCMも流している僕でも知ってる大企業だった。

そんなとこで僕が受かるわけがないとは思いつつも、確かにダメ元で受けてみても面白いと思って先生にOKの返信をした。

今までは自分のレベルに見合った、中小企業を中心に応募してきたが、大企業を受けてみるのも面白いかもしれない。

あと普段は入れない大企業の中に入るチャンスでもあるので、興味が湧いてきた。

履歴書は大量に作成してあるので、志望動機のところだけ、その企業に向けた文章で追記する。

企業のウェブサイトとFacebook、Twitterを見てその会社の経営理念、事業内容、組織図などを頭に叩き込んでいく。

実は兄が同業他社のこれまた大企業に勤めていて人事を担当しているので、大企業の面接のポイントは嫌というほど吹き込まれているのだ。

兄曰く、大企業の面接のポイントは、

  • その企業の経営理念を覚えていること
  • 主要な事業内容を覚えていること
  • 組織図をなんとなく把握しておくこと

この3つさえ押さえておけば、あとは他の人よりも印象づけさえできれば受かるらしい。

本当かよ…と疑いつつも、社会人の先輩である兄の意見を取り入れてその3つのポイントを重点的に勉強することにしてみた。

そして書類選考が通り、1次面接の日が来た。

その企業は新宿に本社があり、全国38箇所(海外含む)に支社があるという日本有数の大企業だ。

本社は新宿都庁の近くで、ビルを下から見上げるととても壮観だった。

2階の受付ロビーにて面接で訪問の旨を美人受付嬢に告げて、面接会場の15階に高層階用エレベーターに乗り込み向かった。

透明なガラス貼りのエレベーターで都会の雰囲気に戸惑いつつも15階の会議室にたどり着く。

今日は10人ほどのリクルートスーツ姿の男女が椅子に座って自分の番を待っていた。

僕はポニーテールが似合う井桁弘恵似の美人の隣に座った。

周りをバレないように自然に観察するが、みんな頭が良さそうに見える。

こんな人たちに勝てるのか?と頭に不安がよぎるが、ネガティブに押しつぶされないよう考えるのをやめた。

…そして、僕の名前が呼ばれた。

1次面接は人事部の若手社員が担当するようで、あまり慣れていない感じがとても好感が持てた。

こちらの緊張をほぐしてくれる意図もあるのかもしれない。

学生時代のエピソードや自分が得意なこと、趣味のことなど嘘偽りなくアピールした。

ちなみに兄の大企業での面接の極意はもっと上層部との面接時に使うものだったので、ここではお披露目はせず、普通に面接を受けるに留めておいた。

そして面接が終わり数日で2次面接の日程調整のメールが届いた。

2次面接では本社の営業部長さんという、1人で年間売上5億円をあげているという超やり手の方との面接だった。

僕はここだ!と思い兄の教えの通りに話を持っていき、猛アピールした。

先方からの質問にも淀みなく回答することができ、おや?これは手応えがあるぞ!と面接最中にも関わらず感じ取ることができた。

そしてその通りに最終面接まで通ったことがメールで知らされた。

僕は嬉しくなり、すぐに兄に報告の電話をした。

兄も喜んでくれて、周りには言うなよ、と社長面接の最終極意を教えてくれた。

それはとても意外で兄ではなく他の人から聞いてたら全く信じなかったと思うが、最終面接に行けたのもこの兄の教えのおかげなので、僕は疑うことなく信じて当日実践してみることにした。

これがあの悲劇を生むとはこの時は全くわからなかった…。

最終面接は最上階の社長室で

なんと最終面接は新宿本社ビルの最上階の社長室で行うらしい。

そんなところに学生の身分で行ってもいいのかと驚いた。

社長屋はテレビドラマでしか見たことのない広い空間に大きなデスク、明らかに高そうな革張りのビジネスチェアー。

応接用のガラスのテーブルと大きな革のソファーと窓からの眺めは空しか見えないという夢のような場所だった。

社長室に入る前には美人秘書を3人も見かけた。

そして大企業の社長と1on1での最終面接が始まった。

僕は何から話して良いか分からずドギマギしていたが、社長さんから話を始めてくれた。

創業社長で最初はとても苦労したこと、途中であったライバル企業からの買収戦争。

1度目の海外進出の失敗などなど。

僕を学生ではなく新入社員として話をしてくれているようだった。

ものすごいスケールの大きさと社長の熱い想いに、こちらものめり込んでいると…。

…ん?

あれはもしかして…。

鼻毛だ!!!

社長の鼻から鼻毛がこんにちわ!!!

自社のビジネスを熱く語る社長の鼻からは鼻毛がちょろり。

うそ…だろ…。

いま、このタイミングで出ていい鼻毛ではないぞ…。

ここで笑ったら話を聞いていなかったと怒られるかもしれない。

大会社の創業社長を笑うなんて、社員の誰一人したことないであろう行為を、就職希望者ができるわけもない。

やばい。

僕は昔から鼻毛だけには弱いのだ。

保育園の頃、園長先生のお話のときに、園長先生の鼻からごっそり出ていた鼻毛を見て吹き出してしまってから、これまで何度も鼻毛で痛い目にあってきたのだ。

だから僕は鼻毛のお手入れは絶対に怠らない。

一般的に鼻毛の処理といえば、ミニバサミか鼻毛カッターが有名だと思う。

でも僕はそれらは使わない。

ミニバサミは細かいところが切りにくいし、短く切ったところがチクチクして嫌だ。

鼻毛カッターも同様でどうしても切れない部分があり満足いく仕上がりになった試しがない。

そんな僕が鼻毛処理に使用しているのは、鼻毛ワックス脱毛【サボテンノーズワックス】だ。

サボテンノーズワックスはいわゆる「ブラジリアンワックス」の一種で、鼻に突っ込んだワックスが鼻毛を絡め取り、一気に引き抜くことで痛みもなくすっきり綺麗に鼻毛脱毛ができるというスグレモノだ。

ブラジリアンワックスって陰毛の脱毛にも使われるくらいだから、鼻の穴にも同様に優しいのである。

使い方はカンタン。

粒状のワックスを専用の容器に入れ、電子レンジで温めて溶かす。

そして専用のスティックにからめて冷めたところで両鼻に突っ込むのだ。

ワックスが乾いた頃に一思いに引き抜くだけ。

すこーし痛みはあるが全然我慢できるレベルだ。

たったそれだけで鼻の入り口付近の鼻毛が根こそぎ取れる。

鼻毛脱毛後のスティックは残念ながら見るに堪えない見た目なので写真は見せられないが、「サボテン」の棘のように鼻毛が抜けるため「サボテンノーズワックス」という名前になったそうだ。

それだけごっそり鼻毛が取れる。

価格もとてもリーズナブルで、10回分が1800円だ。

ただ2000円未満は送料が600円かかってしまう。

そこでお得な買い方を大公開!

「10回分セット」1800円と「リピートセット12回分」1400円を同時購入すると、3200円になり送料が無料になる。

1回分に換算すると、約145円なのだ!

合計22回分って多いんじゃないの?と思うかもしれないが、このサボテンノーズワックスは月1回のお手入れで良いので22ヶ月分ということになる。

2年弱は持つのだ。

超コスパが良すぎてビビるよね。

鼻毛のお手入れは人として絶対やらなければならないこと。

どんなに偉い人でも、鼻毛が出ているだけですべてが台無しになってしまう。

これが選挙だったら鼻毛が出ていた時点で落選確実だ。

それだけ重要なのが鼻毛なのだ。

それをこの大企業の創業社長は、よりによって僕の面接の日に鼻毛を出したまま面接するだなんて…。

もしかしてわかっててやっているのだろうか?

鼻毛を見た僕の反応を見ている?

ここでどのように対応するかが最終面接?

そんな疑問が僕の頭の中を駆け巡った。

いやそんなわけあるか。

きっと今朝は忙しかったのだろう。

それを僕のためにこうやって時間を取ってくれて面接をしてくれているのだ。

感謝しようではないか。

…。

駄目だ。

そろそろ腹筋崩壊太郎だ。

なんとかこの場を乗り気らねば…。

何か気を紛らわす方法はないか探すのだ…。

社長のデスクの後ろにある掛け軸の文字でも読むか。

「油断大敵」

ぶふーー!!シャチョさん油断してまんがな!!!

…危ない心の中で吹き出してしまった。

何とか表には出さずにすんでよかった。

油断大敵とは…、社長さん鼻毛が油断しまくりですよ…。

そういえば兄が社長面接のコツを教えてくれたな。

えーっと何だったかな…。

「緊張した時は、社長の鼻の穴を見つめろ」

鼻の穴は本音が隠されているから何か引っ掛け問題を出してくる時は鼻がピクピクするらしい。

そこで判断するように、ということだった。

クソ兄貴!!!!!

鼻の穴に注目したら鼻毛が見えてるよ!!!

逆の意味で緊張してしまい完全に逆効果だった。

このままでは最終面接、受かるものも受からなくなってしまう。

どうしたら良いのでしょうか。

あぁ神様仏様。

どうか迷える子羊をお救いくださいませ…。

…。

…グラッ。

グラッグラッ…。

おおーーー、このタイミングで地震だ!!!

これは大きいぞ!!

美人秘書が慌てて部屋に入ってきて二人に避難するように言ってきた。

僕は「しめたっ」と思い、社長と二人で社長室を後にして階段で下まで降りたのだった。

これがビルの最上階だったからとんでもなく大変だった。

この緊急避難があったからこそ、社長の印象に強く残り、僕が応募者の中からただ一人だけ合格できたのかもしれない。

そう僕はこの企業に新入社員としてこの春から務めているのだ。

最初の3ヶ月は研修ばかりだったが、ついに現場で働くことになった。

その現場での最初の日、なんと社長が現場見学に来ていたのだ…。

僕は何万人も社員がいるのだから僕の顔は忘れてしまっているだろうな、と思って挨拶をした。

すると、「あの時の地震は怖かったな!でも1階まで階段で降りたのがきつかったな!あっはっは~!」となんとあの時のことを覚えていてくれたのだ!

これが大企業の社長の技量かと思うと感動した。

ちなみにあの鼻毛事件には後日談があり、実は社長面接時には僕の採用は決定していたそうだ。

最後の顔合わせとしての社長面接だったのだが、社長は自分の鼻毛が出ていることは知っていたらしい。

だけどあえて処理をせずに面接に臨んだそうだ。

何でそんなことをするのかって?

実際に現場では顧客と商談をする際に、そういう事態に陥ることがあるかもしれない。

そんな時に冷静に対処できるように、あえて鼻毛を出したまま面接をしたそうだ。

もちろん毎日鼻毛を出しているわけではないので、全員がそのドッキリを仕掛けられているわけではない。

時々社長の気まぐれでそういったことをするそうなのだが、ドッキリを仕掛けられた社員は今後大出世するという噂もあるらしい。

ということは僕にもチャンスが来るのかな…。

とても楽しみだ。

でも鼻毛はちょっとさすがにどうかと思うので、今度社内報でサボテンノーズワックスの紹介でもしてみようかな。

社長の目に止まってくれるといいのだけれど。